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平成30年消費者契約法改正における不当勧誘規制の拡充

 平成30年6月15日公布、2019年(平成31年)6月15日施行の消費者契約法改正について、消費者庁のホームページ、「消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)に関する情報はこちら」に「消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)の主な内容」として紹介されています。

 平成30年改正では、新たに「困惑類型①(1)不安をあおる告知(社会生活上の経験不足の不当な利用)」(4条3項3号)、「困惑類型①(2)人間関係の濫用(社会生活上の経験不足の不当な利用)」(4条3項4号)、「困惑類型②判断力の低下の不当な利用」(4条3項5号)、「困惑類型③霊感等による知見を用いた告知」(4条3項6号)、「困惑類型④契約締結前に債務の内容を実施等」(4条3項7号・8号)といった困惑類型の追加がなされています。また「不利益事実の不告知の要件の緩和」(4条2項)もなされています。

 平成12年の消費者契約法制定時には、誤認類型として、不実告知(4条1項1号)・断定的判断の提供(4条1項2号)・不利益事実不告知(4条2項)が、困惑類型としては不退去(4条3項1号)・退去妨害(4条3項2号)が定められていましたが、その後、平成29年改正において過量契約取消権(4条4項)が追加されました(なお、取消権行使期間の伸長もなされています(7条1項))。平成30年改正は、不当勧誘規制のうち困惑類型を大幅に拡充するものとなっていますが、要件設定などについてはなお批判もあるところです。

 他方、情報提供については「消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものの性質に応じ、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供すること」とされましたが(3条1項2号)、なお努力義務に留まっています。

 消費者契約法については今後更なる実体法改正が予定されています。