· 

不安をあおる告知(4条3項3号)

【消費者契約法4条3項3号】

 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、次に掲げる事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。
イ 進学、就職、結婚、生計その他の社会生活上の重要な事
ロ 容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項

 

 平成30年消費者契約法改正において新設された「不安をあおる告知」(4条3項3号)は、例えば、就活中の学生の不安を知りつつ、「このままでは一生成功しない、この就職セミナーが必要」と告げて勧誘するなど、進学・就職・結婚・生計など社会生活上の重要な事項(イ)や容姿・体型など身体的特徴・状況に関する重要な事項に対する「願望の実現」に「過大な不安」を抱いていることを知りながら、その「不安をあおり」、物品・権利・サービスなどが願望の実現に必要である告知をして消費者を困惑させる類型です。若年者の相談事例には、ビジネス等の教室・エステ・タレント・モデル養成など、その願望の実現に関連するものが多いとされています(消費者庁「消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)の主な内容」)。

 

 消費者が

① 社会生活上の経験が乏しいことから、
② 願望(イ・ロに関する)の実現に過大な不安を抱き

 事業者は

③ これを知りながら、
④ 正当な理由がないのに、不安をあおり、契約の目的となるものが願望実現に必要 である旨告げ

 消費者が困惑して契約をしてしまった場合には取消が可能となります。