民事訴訟IT化研究会【資料2】では訴えの提起段階における諸論点について検討がなされています。
【第2 各論1(訴えの提起等)1 オンラインによる訴え提起について】
【第2.1.(1)】訴え提起の時期について
オンラインによる訴え提起を認める場合,現行法では,裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に,訴えの提起がされたものと扱われることになるが(法第132条の10第3項),それ以外の規律は考えられるか。
【第2.1.(2)】添付書類提出の省略について(バックオフィス連携について)
訴え提起の際に求められる添付資料について,バックオフィス連携を実現する(当事者の提出を要しない)ことについて,どのように考えるか。
【第2.1.(3)】本人確認の方法について
オンラインによる訴え提起を行う場合の本人確認について,現行法では,最高裁規則の定めるところにより,氏名及び名称を明らかにする措置を講ずることとされており,電子署名が想定されているが,それ以外の方法は考えられるか。
【第2.2】濫用的な訴えを防止するための方策について
民事裁判のIT化を実現した場合,濫用的な訴えが増加することになるおそれがあるという指摘について,どのように考えるか。また,そのおそれがあると認められる場合に,どのような方策をとることが考えられるか。
このうち【第2.1.(3)】本人確認について、では電子署名の取得負担について「もっとも,電子署名の取得については,一定の手続を経る必要があり,訴訟提起の際に,その手続の負担を当事者に課すのが相当かといった問題はあるように思われ(特にオンライン申立ての一本化を実現する場合は,大きな問題になるように思われる。),現行法の下で書面による申立ての際にどこまで厳格な本人確認が要求されているのかといった問題とのバランスも考える必要があるように思われる。なお,弁護士などの業として反復継続的に訴訟手続を利用する者については,毎回電子署名を付させるのではなく,登録制度を設け,登録の際は電子署名を付して本人確認をする必要があるが,その後はIDとパスワードを発行し,これを入力することによりオンライン申立てを可能とするということは十分に考えられる。これらの点について,どのように考えるか。」と言及されている。
また【第2.2】濫用的な訴え提起を防止するための方策については、提訴手数料による濫訴防止との関連で訴訟救助を訴え提起前に得なければならないとする制度についても掲げられています。