第1 各論2(送達等)
1 電子メールを用いた訴状の送達について
訴状の送達について,従来の送達方法に加えて,次のとおり,事前に電子メールアドレスを登録している被告に対しては,電子メールを用いて電子データを送信する方法で送達する方法(以下「メール送達」という。)を設けることについて,どのように考えるか。
⑴ 裁判所において,送達を受けるべき電子メールアドレス(以下「受送達アドレス」という。)を登録する制度を設ける。
⑵ 裁判所書記官は,上記⑴の登録をしている被告に対しては,訴状(電子データ)を添付した電子メールを受送達アドレスに宛てて送信することにより送達をすることができる。
⑶ 上記⑵による送達は,被告が当該電子メールを受信し,開封した時にその効力を生ずる。
訴状を電子データで提出させる場合には、訴状のデータを書面に出力することなく直接にメール送達することができるならば通常行われている特別送達より迅速かつ安価に送達をすることが可能となり利便性が向上すると考えることができます。
もっともそのためには送達のために用いる被告のメールアドレスが予め特定されている必要があります。そこで研究会では裁判所に「受送達アドレス」を登録する制度を設けることが検討されています(資料3各論2・1(1))。
もっとも、被告として訴えられるために予めアドレスを自主的に登録するのかは疑問ですし、それを義務付けることも相当ではないと思われます。またインターネットにアクセスできる環境にない場合(刑事収容施設の被収容者等)もあり得ます。そこで研究会においても、現行法の定める従来の送達方法は原則として維持する必要があると考えられるとされています。
その場合、電子データで提出させた訴状をプリントアウトして被告に特別送達することとなると思われますが、その作業・負担が別途生じることになります。なお、訴訟係属後の送達については別途検討がなされています(資料3各論2・2)。