第2 各論3(応訴,口頭弁論等)
2 口頭弁論期日における当事者の出頭について
口頭弁論期日における当事者の出頭について,次のような規律を設けることについて,どのように考えるべきか。
⑴ 裁判所は,相当と認めるときは,当事者の意見を聴いて,最高裁判所規則(※)で定めるところにより,裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相互に認識しながら通話をすることができる方法によって,口頭弁論の期日における手続を行うことができる。
⑵ 上記⑴の期日に出頭しないで同手続に関与した当事者は,その期日に出頭したものとみなす。
(※)最高裁判所規則では,ウェブ会議の接続先の条件のほか,ウェブ会議等を行う
【現行民事訴訟法】
(訴状等の陳述の擬制)
第158条
原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
(訴えの取下げの擬制)
第263条
当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則
(続行期日における陳述の擬制)
第277条
第百五十八条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。
現行民事訴訟法では,原告又は被告の当事者の一方は口頭弁論期日に出頭しなければ開かれず,また通常の民事訴訟では第1回口頭弁論期日における擬制陳述を除き,口頭弁論期日に出頭しなければ弁論をすることはできません。もっとも期日によっては当事者が裁判所に出頭することを求めることが当事者や裁判所にとって時間的・経済的負担となる場合もあります。当事者双方が出頭しなくともウェブ会議等を利用した口頭弁論を認めることにより期日にメリハリをつけることで審理の充実度を高められるとも考えられます。
そこでe法廷では,ウェブ会議等を利用することで,当事者(双方)が現実に出頭しなくとも口頭弁論期日で弁論をすることができることとを認めることが考えられています。ここでいう「ウェブ会議等」とは「ウェブ会議」及び「テレビ会議」を指し,「ウェブ会議」とは,裁判所が任意の場所にいる当事者との間で,スカイプ等のインターネット電話サービスなどを利用して,映像及び音声のほか,文字やデータ等を用いたやり取りを行うことをいい,「テレビ会議」とは,裁判所が,他の裁判所にいる当事者との間で,裁判所のテレビ会議システムを利用して,映像及び音声のやり取りを行うことをいうものとするとされています。
他方,ウェブ会議等を利用した口頭弁論期日を認めることについては,裁判の公開主義・直接主義・口頭主義との関係を整理する必要があるとされています。