【民事訴訟IT化】和解期日について

民事裁判等IT化研究会資料4-1

各論4(争点整理手続き等)

 

2 和解期日について

和解期日について,法第89条に,次のような規律を加えることについて,どのように考えるか。

⑴ 裁判所は,和解を試みるため,和解手続期日を指定することができる。

⑵ 裁判所は,【当事者が遠隔の地に居住しているときその他】相当と認めるときは,当事者の意見を聴いて,最高裁判所規則で定めるところにより,裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって,和解手続の期日における手続を行うことができる。

⑶ ⑵の期日に出頭しないで⑵の手続に関与した当事者は,その期日に出頭したものとみなす。

⑷ 法第148条<裁判長の訴訟指揮権>,法第150条<訴訟指揮権に対する異議>,第154条<通訳人の立会い等>及び第155条<弁論能力を欠く者に対する措置>の規定は,和解手続について準用する。

⑸ 和解手続を受命裁判官又は受託裁判官が行う場合には,⑷の規定による裁判所又は裁判長の職務は,その裁判官が行う。

 

【現行民事訴訟法】

(和解の試み)
第89条
 裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。
(訴えの取下げ)
第261条
1.訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2.訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。
3.訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。
4.第二項本文の場合において、訴えの取下げが書面でされたときはその書面を、訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)はその期日の調書の謄本を相手方に送達しなければならない。
5.訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から、相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の謄本の送達があった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。
 現行民事訴訟法89条は,訴訟がどの程度に達していても和解を試みることができるとしていますが,「和解期日」についての明文規定はほとんどありません(民訴法261条3項参照)。そこで,まず和解手続期日に関する明文の規定を設けることが提案されています。なお,訴訟がどの程度に達していても和解を試みることができるとする現行民訴法89条は維持するとされています。その上で,和解手続期日についても,双方が現実に出頭にしなくても,ウェブ会議・テレビ会議・電話会議を利用してこれを行うことを許容することが提案されています。