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【所有者不明土地問題】民法及び不動産登記法の改正を法制審議会に諮問 

 平成31年2月14日に開催された法制審議会第183回会議において、所有者不明土地問題等に対応するための民法及び不動産登記法の改正に関する諮問がなされました。 

 

 諮問では「土地の所有者が死亡しても相続登記がされないこと等を原因として、不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず、又は判明しても連絡がつかない所有者不明土地が生じ、その土地の利用等が阻害されるなどの問題が生じている近年の社会経済情勢に鑑み、相続等による所有者不明土地の発生を予防するための仕組みや、所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するための仕組みを早急に整備する観点から民法、不動産登記法等を改正する必要があると思われるので、左記の方策を始め、その仕組みを整備するために導入が必要となる方策について、御意見を承りたい」とし

 

第一 相続等による所有者不明土地の発生を予防するための仕組み」として

一 相続登記の申請を土地所有者に義務付けることや登記所が他の公的機関から死亡情報等を入手すること等により、不動産登記情報の更新を図る方策

二 土地所有権の放棄を可能とすることや遺産分割に期間制限を設けて遺産分割を促進すること等により、所有者不明土地の発生を抑制する方策

 が、

第二 所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するための仕組み」として

一 民法の共有制度を見直すなど、共有関係にある所有者不明土地の円滑かつ適正な利用を可能とする方策

二 民法の不在者財産管理制度及び相続財産管理制度を見直すなど、所有者不明土地の管理を合理化するための方策

三 民法の相隣関係に関する規定を見直すなど、隣地所有者による所有者不明土地の円滑かつ適正な利用を可能とする方策

が掲げられています。

 

 土地所有権の放棄のほか、相続登記の義務付けや遺産分割の期間制限、共有・不在者財産管理・相続財産管理・相隣関係の見直しも検討されることとなっており、大きな制度変更となる可能性もあり今後の審議が注目されます。