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東京マラソンエントリー規約と消費者契約法

 東京マラソンエントリー規約」13条は「 積雪、大雨による増水、強風による建物等の損壊の発生、落雷や竜巻、コース周辺の建物から火災発生等によりコースが通行不能になった結果の中止の場合、関係当局より中止要請を受けた場合、日本国内における地震による中止の場合、Jアラート発令による中止の場合(戦争・テロを除く)は、参加料のみ返金いたします。なお、それ以外の大会中止の場合、返金はいたしません。」と定めています。

 このような返金拒否条項は不当条項性が問題となりやすい類型です。消費者契約法10条は「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」として「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と定めています。返金拒否条項は、この消費者契約法10条に違反しないかが問題となります。

 東京マラソンのエントリー規約でも「積雪、大雨による増水、強風による建物等の損壊の発生、落雷や竜巻、コース周辺の建物から火災発生等によりコースが通行不能になった結果の中止の場合、関係当局より中止要請を受けた場合、日本国内における地震による中止の場合、Jアラート発令による中止の場合」は返金がなされるとされています(戦争・テロを除く)。このような場合でも返金がなされるのであれば、これに類する中止事由でも返金がなされるとも考えられます。「その以外の大会中止の場合」というのは広範すぎる感もあります。

 大会の運営のためということであれば、応募者に参加費相当額の寄付を求める等の手段もあると思われます。もう少し吟味が必要と思われます。