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【労基法改正衆議院厚労委員会可決】賃金債権の消滅時効が3年に

 今国会において、労働基準法の一部を改正する法律案が審議されておりますが、3月11日に衆議院厚労委員会で可決しました。今月中に国会で可決成立し、民法(債権法)改正の施行期日である4月1日に同時に施行される予定です。

 

【改正法案】

 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

 第百九条中「雇入」を「雇入れ」に、「三年間」を「五年間」に改める。

 第百十四条ただし書中「二年」を「五年」に改める。

 第百十五条中「(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間」を「の請求権はこれを行使することができる時から五年間」に、「退職手当の請求権は五年間」を「災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間」に改める。

 第百三十九条第二項、第百四十条第二項、第百四十一条第四項及び第百四十二条中「平成三十六年三月三十一日」を「令和六年三月三十一日」に改める。

 附則に次の一条を加える。

第百四十三条 第百九条の規定の適用については、当分の間、同条中「五年間」とあるのは、「三年間」とする。

  第百十四条の規定の適用については、当分の間、同条ただし書中「五年」とあるのは、「三年」とする。

  第百十五条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から三年間」とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、民法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第四十四号)の施行の日から施行する。

 (付加金の支払及び時効に関する経過措置)

第二条 この法律による改正後の労働基準法(以下この条において「新法」という。)第百十四条及び第百四十三条第二項の規定は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)以後に新法第百十四条に規定する違反がある場合における付加金の支払に係る請求について適用し、施行日前にこの法律による改正前の労働基準法第百十四条に規定する違反があった場合における付加金の支払に係る請求については、なお従前の例による。

2 新法第百十五条及び第百四十三条第三項の規定は、施行日以後に支払期日が到来する労働基準法の規定による賃金(退職手当を除く。以下この項において同じ。)の請求権の時効について適用し、施行日前に支払期日が到来した同法の規定による賃金の請求権の時効については、なお従前の例による。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


     理 由

 民法の一部を改正する法律の施行に伴い、使用人の給料に係る短期消滅時効が廃止されること等を踏まえ、労働者保護の観点から、賃金請求権の消滅時効期間等を延長するとともに、当分の間の経過措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。