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【日弁連】新型コロナウイルス感染症の影響を受けた個人債務者への「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の適用開始に当たっての会長声明

 自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則の公表を受けて日弁連は令和2年10月30日に「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた個人債務者への「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の適用開始に当たっての会長声明」を公表しています。

 同会長声明では「本ガイドラインを利用する場合には、①既往債務の減免、②個人信用情報機関に登録されないこと、③自由財産(債務者の手元に残せる財産)について、法定差押禁止財産に加え、一定の範囲で拡張も認められる場合があること、④保証債務の履行の原則免除、⑤弁護士等の「登録支援専門家」の支援を無料で受けられることなど、個人債務者の生活や事業の再建に有用な制度設計がされている。本ガイドラインは、熊本地震や西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震等の被災者支援でも活用され、利用実績が積み重ねられている。」こと、「新型コロナウイルス感染症拡大による影響についても、震災や台風、水害等の自然災害に見られるような住家の損壊等は発生していないものの、不可抗力とも言える事象によって生活が困窮した個人や事業継続が困難になった個人事業者が支払不能となる構図に何ら変わりはない。」こと、「適用開始はあくまで入口にすぎないのであり、本ガイドラインが、債務の返済が困難となった個人債務者の生活や事業の再建を実現する手段として有効、適切に運用されていかなければならない。」こと、「当連合会は、関係諸機関と連携しながら、登録支援専門家となる弁護士の確保や研修の実施、制度の周知・広報などにより、本ガイドラインの運用に全面的に協力し、債務者の生活や事業の再建が着実に果たされるよう取り組む所存である。」ことなどが述べられています。

 新型コロナ感染症の拡大に伴う経済的影響を受けた個人・個人事業主が、自己破産等に陥らずに生活再建・事業再建ができるように適切・柔軟な運用がなされることが期待されます。