【改正民訴】公示送達の方法(111条)

新民訴第四款 公示送達】

(公示送達の方法)

第111条

 公示送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項を最高裁判所規則で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置く措置をとるとともに、当該事項が記載された書面を裁判所の掲示場に掲示し、又は当該事項を裁判所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることによってする。

一 書類の公示送達 裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべきこと。

二 電磁的記録の公示 送達裁判所書記官が、送達すべき電磁的記録に記録された事項につき、いつでも送達を受けるべき者に第百九条の書面を交付し、又は第百九条の二第一項本文の規定による措置をとるとともに、同項本文の通知を発すべきこと。

【改正前民訴】

 

(公示送達の方法)

第111条

 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。

 

 

【コメント】

1.民事訴訟を提起する際には、訴状を裁判所に提出し、裁判所が訴状を相手方(被告)に送達する必要があります。しかし、相手方の所在が分からない場合には、訴状の送達ができず、民事裁判が始まらない事態となってしまいます。このような場合には「公示送達」という方法がとられます。

2.改正前民訴111条は公示送達の方法は「裁判所の掲示場に掲示」してするとしています。裁判所に行くと、掲示板に紙が張り出されています。これにより訴状を送達したと擬制して訴訟手続を進めることになります(実際に、所在不明者が、この掲示板を見て、自分に対して訴訟提起がなされた等を認識することはめったにないことだと思います)。

3.改正法では、この公示送達の方法に「最高裁判所規則で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置く措置」(本文)及び裁判所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧」が追加されます(2号)。インターネットにより公示送達を覚知することがしやすくなる半面、所在不明者のプライバシーが侵害される懸念があります。リスト化しこれを悪用する業者もいるかもしれません。訴え提起をする側(原告)も訴訟提起等の事実が知られることになる可能性もあります。制度設計は最高裁判所規則に委ねられますが、慎重な制度設計が求められます。

 

 

【中間試案】第3 送達 2 公示送達

【部会資料17】第3 送達 4 公示送達

【部会資料23】第2 送達 2 公示送達

【部会資料29】第2 送達 2 公示送達

【部会資料31】第2 送達 2 公示送達

【部会資料32】第2 送達 2 公示送達 

【要綱案】第2 送達 2 公示送達