【新民訴87条の2】
(映像と音声の送受信による通 話の方法による口頭弁論等)
第87条の2
1.裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、口頭弁論の期日における手続を行うことができる。
2.裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、審尋の期日における手続を行うことができる。
3.前二項の期日に出頭しないでその手続に関与した当事者は、その期日に出頭したものとみなす。
【改正前民訴】
第五章 訴訟手続
第一節 訴訟の審理等
(訴状等の陳述の擬制)
第158条
原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
(訴えの取下げの擬制)
第263条
当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないとき
は、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
【コメント】
1.改正前民訴法では、原告・被告は、口頭弁論期日に出頭しなければ陳述ができず、また当事者の双方が出頭しなければ口頭弁論期日を開くことができませんでした。新民訴では、当事者の双方がウエブ会議等の方法によっても出頭したものとみなすことにより口頭弁論期日を開くことが可能となりました。
2.なお、部会資料22では「ウェブ会議等を利用する場合であっても、裁判所は、期日を指定し、法廷で口頭弁論を実施しなければならないことには変わりがないのであり(法第87条第1項本文)、その法廷への出頭を拒絶することはできず、現実の法廷への出頭を希望する者につい ては、これが妨げられることはない。」とされています。裁判の公開主義・口頭主義・直接主義という各原則との関係からも、裁判の形骸化を防ぐためにも、口頭弁論に出頭する機会は保障されなければならないと考えます。
3.なお、中間試案で提案されていた撮影・録画等の禁止のための新たな制裁規定やインターネット中継の許容ないし禁止の規定は見送られています。ウェブ会議で行われる口頭弁論を撮影・録画あるいは中継をする当事者が
でることも考えられます。裁判の公開を拡げるニーズがある一方で、プライバシーへの配慮や「法廷」の秩序維持などとの兼ね合いで、訴訟関係者における新たな一定のルール・慣行づくりが模索されるかもしれません。
【中間試案】第5 口頭弁論 1 ウェブ会議等を用いて行う口頭弁論の期日における手続 2 無断での写真の撮影等の禁止 3 口頭弁論の公開に関する規律の維持
【部会資料22】第1 口頭弁論 1 ウェブ会議等を用いて行う口頭弁論の期日における手続
【部会資料25】第1 口頭弁論等 1 口頭弁論等の期日 ⑴ 映像と音声の送受信による通話の方法(ウェブ会議等)による口頭弁論
【部会資料29】第4 口頭弁論等 1 口頭弁論の期日 ⑴ 映像と音声の送受信による通話の方法(ウェブ会議等)による口頭弁論
【部会資料31】第4 口頭弁論等 1 口頭弁論の期日 ⑴ 映像と音声の送受信による通話の方法(ウェブ会議等)による口頭弁論
【部会資料32】第3 口頭弁論等 1 口頭弁論の期日 ⑴ 映像と音声の送受信による通話の方法(ウェブ会議等)による口頭弁論