令和3年4月1日に経済産業省が公布した改正中小小売商業振興法施行規則が令和4年4月1日に施行されています。
中小小売商業振興法11条は特定連鎖化事業(いわゆるフランチャイズ)の適正化として契約締結時の書面交付義務及び説明義務を定めています。
(特定連鎖化事業の運営の適正化)
第11条
1.連鎖化事業であつて、当該連鎖化事業に係る約款に、加盟者に特定の商標、商号その他の表示を使用させる旨及び加盟者から加盟に際し加盟金、保証金その他の金銭を徴収する旨の定めがあるもの(以下「特定連鎖化事業」という。)を行う者は、当該特定連鎖化事業に加盟しようとする者と契約を締結しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、あらかじめ、その者に対し、次の事項を記載した書面を交付し、その記載事項について説明をしなければならない。
一 加盟に際し徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関する事項
二 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項
三 経営の指導に関する事項
四 使用させる商標、商号その他の表示に関する事項
五 契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項
2.経済産業大臣は、前項の経済産業省令の制定又は改廃をしようとするときは、小売業に属する事業を所管する大臣に協議しなければならない。
同条を受けた中小小売商業振興法施行規則10条及び11条が改正され、特定連鎖化事業(コンビニエンス・ストア等の小売商業に関するフランチャイズ・ビジネス)の本部(フランチャイザー)が、加盟希望者(フランチャイジー)との契約前に書面で説明すべき事項として、「加盟者の店舗のうち、周辺の地域の人口、交通量その他の立地条件が類似するものの直近の三事業年度の収支に関する事項」を追加する等の改正が行れ、令和4年4月1日より施行されています。
■ 経済産業省「中小小売商業振興法施行規則の一部が改正されます」
■ 一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会改正中小小売商業振興法施行規則に関するQ&A
フランチャイズをめぐるトラブルの典型として勧誘・契約締結段階において実態と異なる過大な利益見込みだけが提示されるなど、情報提供義務・説明義務違反あるいは不実表示の問題があります。改正施行規則は立地条件が類似する加盟店店舗の直近の三事業年度の収支に関する事項を追加するなどし、勧誘段階に情報提供をしなければならない事項を拡大し、契約締結前にリスク判断ができるようにするものです。さらなる規律の強化が求められるところです。