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消費者契約法等改正法案衆議院附帯決議

 消費者契約法等改正法案が令和4年4月21日に衆議院を通過しました。衆議院消費者問題に関する特別委員会では以下の附帯決議がなされています。

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 

一 法改正後直ちに、諸外国における法整備の動向を踏まえ、消費者契約法が消費者契約全般に適用される包括的な民事ルールであることの意義や同法の消費者法令における役割を多角的な見地から整理し直した上で、判断力の低下等の個々の消費者の多様な事情に応じて消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる制度の創設、損害賠償請求の導入、契約締結時以外への適用場面の拡大等既存の枠組みに捉われない抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方について検討を開始すること。

 

二 一の検討の際には、超高齢社会が進展し高齢者の消費者保護の重要性が高まっていることや、成年年齢の引下げ後における若年者の消費者被害の状況等を踏まえ、悪質商法による被害を実効的に予防・救済するとの観点を十分に踏まえること。

 

三 一の検討の際には、「平均的な損害」の額に係る立証責任の転換を含め、消費者契約に関する検討会の報告書において将来の検討課題とされた事項等について引き続き検討すること。

 

四 消費者契約法第四条第三項第三号については、同項第一号及び第二号の従前の解釈を狭めるものではないことを周知すること。また、同項第四号に関し、内閣府令で相談を行う方法を定めるに当たっては、特定の相談方法が除外されることがないように網羅的に規定すること。

 

五 消費者契約法第九条第二項の算定根拠の概要の説明については、請求されている損害賠償又は違約金が平均的な損害の額を超えているか否かについて消費者が理解し得るような説明を事業者がすべきことを周知すること。

 

六 消費者契約法第十二条の三から第十二条の五までに関し、内閣府令で要請の方法を定めるに当たっては、適格消費者団体が過度の負担を負うことがないようにすること。

 

七 集団的消費者被害回復制度における共通義務確認訴訟の対象範囲の拡大及び和解の柔軟化並びに簡易確定手続の対象消費者への通知方法の見直し等について、十分な周知を行うとともに、政省令等を検討するに当たっては、改正の趣旨を踏まえたものとすること。

 

八 差止請求制度及び集団的消費者被害回復制度が実効的な制度として機能するよう、新たに創設される消費者団体訴訟等支援法人に対し、充実した業務を実施するための支援を行うとともに、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する支援の充実及びPIO―NETに係る情報の開示の範囲の更なる拡大の検討を行うこと。

 

九 裁判手続のIT化及びオンラインでの紛争解決(ODR)推進の議論を踏まえて、簡易確定手続における特定適格消費者団体と対象消費者の間の手続のIT化に当たって、必要な支援について、検討を行い、必要な措置を講ずること。

 

十 消費者裁判手続特例法等に関する検討会の報告書において、提言がなされたが改正事項とはならなかった「公告に要する費用の一定額を事業者が負担すること」、同報告書で将来的な検討課題とされた「特定適格消費者団体が事業者以外の第三者から対象消費者に関する情報を取得すること」及び「財産に関する情報を含む事業者の情報の開示手続を新設し、同手続を含む事業者の情報について行政機関や事業者以外の第三者から取得すること」について、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うこと。

 

十一 より効率的に集団的な被害回復を図る制度として、オプトアウト方式等の事業者に不当な収益を残さないための有効な手段の導入について、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うこと。

 

十二 悪質商法による被害に遭った消費者の被害回復には、集団的消費者被害回復制度のみでは不十分であることから、特定適格消費者団体又は行政庁による破産申立て及び行政庁が加害者の財産を保全し違法収益をはく奪する制度などを含め、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うこと。

 

十三 具体的な消費者団体訴訟事案に関し、適格消費者団体等の活動状況や消費者団体訴訟の訴訟結果を一覧できる仕組みの構築等を通じて、消費者が安心して案件を確認し、訴訟に参加できる環境を整備すること。

 

十四 全国どこに住んでいても質の高い消費者行政サービスを受けることができる地域体制を整備することが重要であり、そのためには全国各地の消費生活センター及び消費生活相談員の活動支援に努めることが不可欠であることから、その実現に向けて地方公共団体に対する更なる支援に努めること。その他、地方消費者行政の体制の充実・強化のため、恒久的な財政支援策を検討するとともに、既存の財政支援の維持・拡充、消費者行政担当者及び消費生活相談員に対する研修の充実、消費生活相談員の処遇改善等による人材の確保、若年者が利用しやすくなるようSNSを活用した消費生活相談窓口の充実に向けた支援措置、地方公共団体の執行体制強化につながる支援措置、消費者安全確保地域協議会の設置の促進等の適切な施策を実施すること。

 

 

消費者契約法改正法案について