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ステルスマーケティングの規制について

 日経新聞2022年(令和4年29日)朝刊「エコノミスト360°視点」に渡辺安虎東大教授の「「ステマ」被害、政府は規制を」が掲載されていました。

 「ステルスマーケティング(ステマ)」は、消費者に広告であることを隠し、偽のレビューや口コミを用いて商品を買わせようとする行為です。グルメの口コミサイトで,飲食店から依頼を受けた業者が顧客になりすまし て当該飲食店を推奨する書き込みをした事件や,ペニーオークションの運営者 が,芸能人に報酬を支払って,実際には落札していないのに落札できたかのよ うなコメントをさせた事件が有名です。

 渡辺教授によると、海外の研究者により、偽レビューの存在により消費者が質の悪い商品を購入することなどから受ける損失が、1万円の買い物に対して1200円に上るなどの研究が示されていることなどが紹介されています。そして、ステマが消費者に大きな被害を及ぼしている可能性があるとして、自主規制ではなく政府による明確なステマ規制に踏み込む時期が来ていると意見されています。

 日弁連は2017年2月16日付で「ステルスマーケティングの規制に関する意見書」を公表しています。

 この意見書では、景表法5条3号の指定に

・ 事業者が自ら表示しているにもかかわらず、第三者が表示しているかのように誤認させるもの

・ 事業者が第三者をして表示を行わせるに当たり、金銭の支払その他の経済的利益を提供しているにもかかわらず、その事実を表示しないもの(ただし、表示の内容又は態様からみて金銭の支払その他の経済的利益が提供されていることが明らかな場合を除く)

 を追加することを求めています。