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【令和4年6月1日施行】改正特商法における定期購入に係る誤認取消権【メモ】

 令和4年6月1日に改正特定商取引法が施行されます。改正法では「お試し商法」として消費者被害の多かった定期購入についての規制強化が図られています。

 とりわけ改正特商法15条の4では「通信販売における契約の申込みの意思表示の取消」として、「特定申込み」をした者について、一定の場合に誤認取消権を認めています。

 

【改正特商法】

(通信販売における契約の申込みの意思表示の取消し)
第15条の4
 特定申込みをした者は、販売業者又は役務提供事業者が当該特定申込みを受けるに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該特定申込みの意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
 第十二条の六第一項の規定に違反して不実の表示をする行為 当該表示が事実であるとの誤認
 第十二条の六第一項の規定に違反して表示をしない行為 当該表示がされていない事項が存在しないとの誤認
 第十二条の六第二項第一号に掲げる表示をする行為 同号に規定する書面の送付又は手続に従つた情報の送信が通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みとならないとの誤認
 第十二条の六第二項第二号に掲げる表示をする行為 同条第一項各号に掲げる事項についての誤認
 第九条の三第二項から第五項までの規定は、前項の規定による特定申込みの意思表示の取消しについて準用する。
 「特定申込み」とは、販売業者等が定める様式の書面・電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により顧客の使用に係る電子計算機の映像面に表示する手続に従つて顧客が行う通信販売に係る売買契約等の申込みを言います(12条6第1項本文)。
  そして販売業者等は特定申込みに係る書面・映像面に「当該売買契約に基づいて販売する商品若しくは特定権利又は当該役務提供契約に基づいて提供する役務の分量(1号)」「当該売買契約又は当該役務提供契約に係る第十一条第一号から第五号までに掲げる事項(2号)」を記載するとともに、「当該書面の送付又は当該手続に従つた情報の送信が通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みとなることにつき、人を誤認させるような表示(第2項1号)」「前項各号に掲げる事項につき、人を誤認させるような表示(第2項2号)」をしてはならないと定めています。
  この12条1項及び2項各号に規定に違反し、購入者を誤認させた場合には申し込みを取り消すことができると定めたのが15条の4の取消権となります。
  「お試し商法」では「初回無料」「初回●●円」という点だけを強調し、定期購入であることや解約が困難であることを秘して契約に誘導することが行われてきました。改正特商法の施行により、これまでより被害救済が図られる可能性があります。