神戸新聞社説に 「震災1万日/「命を守る」誓いを新たに」とありました。
私は,平成7年1月17日早朝は京都で学生生活をしていて,京都でも地震があるのだなと感じた程度でした。その後,阪神淡路大震災の惨状が学食のテレビで映し出された記憶があります。その年,司法試験に合格した青臭い学生だった私は,被災地での法律実務を学びたいなどと思い,神戸に司法修習を希望しました。平成8年からの神戸・明石での司法修習生時代には仮設住宅が街の風景となっていました。当時の指導弁護士に,弁護士として何を学んだら良いのか(なにか学習法や教科書など期待して)と尋ねると,仮設住宅を巡る法律相談に参加しなさいと言われました。当時はまだ理解が及んでいませんでしたが、災害は特に弱者を襲います。住宅をめぐる問題だけでなく多重債務や経済格差、貧困などの問題が背景にあったと思います。この仮設住宅の巡回法律相談に参加したことから,ご縁があり以前勤めていた神戸合同法律事務所での勤務となり、その後現在に至っております。
兵庫県弁護士会には津久井進弁護士を始め災害支援という,一見弁護士と関係のなさそうな業務に燃える老壮青がおります(実は,災害時に弁護士が果たすべき役割は多いのです(津久井進「大災害と法」岩波新書))。自分がなぜ今,えんもゆかりもなかった阪神間で仕事をしているのだろうと思う時に,阪神大震災のことと当時の若かった自分のことを思ってそれなりに頑張っております。
その後,被災者生活再建支援法や被災ローン減免制度などが整備され,東日本大震災の経験なども踏まえながら,まだまだ不十分ながらも法整備も進んでいますし,弁護士の災害支援への関心も高まっています。
福島原発事故の被災者支援も東日本大震災の被災者支援の一環です。原発再稼働への賛否はともかく,福島原発事故の被災者・避難者支援の根本的解決と,重大事故の再発防止のための事故原因の究明と安全体制の確立は強く求められます。阪神大震災1万日の雑感です(1万日も経過したのですね)。