· 

【中小企業庁】経営者保証を徴求しないスタートアップ・創業融資の促進

 銀行等金融機関が経営者の個人保証を求める融資慣行が,新規創業や再チャレンジ,事業承継の阻害要因となっていると指摘されて久しくなります。経営者保証ガイドラインなどにより,安易に経営者個人保証に依存しない融資慣行や保証解除などの取組もなされておりますが,まだまだ十分とは言えません。

 中小企業庁に設置されている中小企業政策審議会金融小委員会は令和4年6月6日に開催された第5回委員会において「中小企業政策審議会金融小委員会中間取りまとめ(案)」を公表しました。この中では「経営者保証を徴求しないスタートアップ・創業融資の促進」も論点として取り上げられています。

 取りまとめ(案)では,「日本の起業家に対するアンケートでは、日本で起業が少ない原因として「失敗に対する危惧」を挙げる者が最も多く、38%存在する。また、起業関心層が考える失敗時のリスクとして、「借金や個人保証を抱えること」と回答した者が 77%、創業時に、信用保証付き融資を含め、民間 金融機関から借り入れを行う際、47%の経営者は個人保証を付与されているという調査結果も存在することも踏まえると、創業時の融資において経営者保証を求める慣行が、創業意欲の阻害要因となっている可能性がある。こうした状況を踏まえ、起業家が経営者保証を提供せず資金調達が可能となる道を拓くべく、信用保証協会においては、経営者による個人保証を徴求しない新しい創業時の信用保証制度を創設することが必要である。その際、新しい創業保証制度においては、経営者保証コーディネーター等の専門家による「経営者保証に関するガイドライン」(以下「経営者保証 GL」という。)の要件の充足状況の確認など、事業者のガバナンスの向上のための措置を併せて講じるべきである。 また、商工組合中央金庫においても、スタートアップ向け融資において、原則、経営者保証を徴求しない取組を開始することが期待される。日本政策金融公庫においては、創業期における日本政策金融公庫によるデット資金供給の役割が大きいことも踏まえ、経営者保証を徴求しない創業融資の一層の推進に向け、必要な措置を検討するべきである。民間金融機関に対しては、金融庁とも連携し、創業時点では事業者が必ずしも充分な資力を有していない場合が多いことなどの事情を踏まえ、経営者保証 GL を機械的に当てはめることなく、経営者保証を求めない対応ができないか等、事業の将来性を踏まえた検討を促すべきである。」とされています。

 経営者保証に依存しない融資慣行の確立は新規創業など経済に活力を与えることとなります。実効性のある制度が実現されるべきです。