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【日本経済新聞】AIで契約書チェックに「違法の可能性」 揺れる法曹界

 日本経済新聞2022年5月5日法務インサイドに「AIで契約書チェックに「違法の可能性」 揺れる法曹界」という記事が掲載されています。

 経済産業省のグレーゾーン解消制度の「活用事例」として「AIによる契約書等審査サービスの提供」に対する法務省の回答が掲載されています。

 AI契約審査サービススが弁護士法第72条本文の適用を受けないものであることについての照会ですが、法務省は、、本件サービスは、ユーザーが法務審査を希望する契約書をアプリケーシ ョン上にアップロードし、照会者において、AI技術を用いて、当該契約書の記載内容につ き、①法的観点から有利であるか不利であるか、②法的リスク、③法的観点から修正を検討 すべき箇所及びその修正の文案、④法的観点から留意すべき事項について検討を促す旨、⑤ 法的なリスクを数値化したリスクスコア、をいずれもユーザーの立場に立ってアプリケーシ ョン上で表示するというものであることを前提に、ユーザーが、本件サービスを利用して法務審査を受ける契約書に係る契約は、その目的、 本件サービスを利用する者(ユーザー)と相手方との関係、契約に至る経緯やその背景事情 等の点において様々であり、こうした個別の具体的事情によっては、本件サービスが、弁護 士法第72条本文に規定する「その他一般の法律事件」に関するものと評価される可能性が ないとはいえない。 次に、本件サービスにおいて、前記①ないし⑤の各事項についての表示をするに当たって は、審査対象となる契約書に含まれる条項の具体的な文言からどのような法律効果が発生す るかを判定することが大前提となっており、これは正に法律上の専門的知識に基づいて法律 的見解を述べるものに当たり得る。よって、本件サービスは弁護士法第72条本文に規定す る「鑑定」に当たると評価され得るといえるとしています。

 近時、事務所にもAIによる契約書チェックについての案内広告が多くなりました。日経の記事によると、弁護士法72条の硬直的な解釈が技術革新を阻害するという意見もあるようです。もっとも、AIはなぜそのような判断をするに至ったのか思考の過程は説明をしないものと思われます。弁護士がAI技術を補助的に用い、法律専門家として責任のある助言・鑑定を行うことがあくまで原則であるべきと考えます。