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【NHK】“同性婚 認められないのは憲法に違反せず” 大阪地裁

 令和4年6月20日、大阪地裁は同性婚を認めないことは憲法に違反しないとする判決をしたと報じられています。例えばNHKは次のとおり報じています。

 【NHK】“同性婚 認められないのは憲法に違反せず” 大阪地裁

 札幌地裁令和3年3月17日は、同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定は,憲法24条1項及び2項、憲法13条には違反しないとしつつ、同性愛者に対しては,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは,立法府の裁量権の範囲を超えたものであって,その限度で憲法14条1項に違反するとしていました(もっとも、国家賠償責任は結論として否定しています)。

 今回の大阪地裁判決も、同性婚を立法において認めることが憲法違反になるとはしておらず、「婚姻が当事者間の自由な合意で結ばれ、誰と婚姻するかの選択は個人の自己実現そのもので、同性愛者にも婚姻に準ずる制度を構築することは禁止されていない。同性間にも、相続や財産分与等の経済的利益だけでなく、カップルとして公認される人格的利益は認められる」とし、「どのような制度が適切であるかは、国の伝統や国民感情、時代ごとの夫婦や親子関係などを踏まえ民主的に決められるべきだ」として、今後の社会状況の変化によっては、同性婚を認める立法措置をとらない場合は、将来的に憲法違反になりうると言及したとあり、国会に議論を委ねた形となっております。立法的解決が早期に実現するのであればよいのですが、選択的夫婦別姓制度の議論も進まない現状で、立法府において同性婚の議論が進むとは思えません。マイノリティの人格的利益について、多数決に委ねてよいのか、少数派の人権を擁護し、後押しするのが司法府の役割ではないかとも感じるところです。

憲法

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第14条1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第24条
1.婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2.配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。