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【東京弁護士会】「ヒロシマ・ナガサキ」の平和祈念の日に寄せる会長談話

 東京弁護士会は2022年8月5日付で「「ヒロシマ・ナガサキ」の平和祈念の日に寄せる会長談話」を公表しています。以下、引用いたします。

 

「ヒロシマ・ナガサキ」の平和祈念の日に寄せる会長談話

2022年08月05日

東京弁護士会 会長 伊井 和彦

 1945年8月6日に広島に、8月9日に長崎に原爆が投下され、77回目となる「ヒロシマ・ナガサキ」のそれぞれの平和祈念の日を迎えます。
 第二次世界大戦が終わった後も、残念ながら世界各地で多数の戦争が繰り返されてきました。とりわけ本年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻において、ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を示唆する発言をしたことは、核なき世界の実現を希求する広島・長崎の人々、そして同じ思いを抱く世界中の人々を驚愕させました。
核兵器は、言うまでもなく、その使用によって極めて多数の人々の生命を奪う究極の非人道的兵器であり、生命を奪われなかった被爆者も、長期間にわたり放射線等の後遺症に苦しむこととなります。このことを広島・長崎の人々は身をもって体験し、核兵器の廃絶を繰り返し訴え続けてきました。
2017年7月7日に核兵器禁止条約が国連総会で採択され、2021年1月22日に発効し、本年6月21日から3日間、ウィーンにおいて第1回締約国会議が開催されました。
 この会議には、33か国がオブザーバー参加しており、核保有国が加盟国に含まれるNATOから、ドイツ、オランダ、ベルギー、ノルウェーが参加したことは、特筆すべきことでした。しかし我が国は、核兵器禁止条約が目指す核兵器廃絶という目標を共有する、としつつ、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要である、という理由から、同条約には加盟しないという姿勢をとっています。
唯一の戦争被爆国である我が国の核兵器禁止条約への加盟は、我が国の国民だけでなく、世界が求めています。同会議のクメント議長は、我が国の不参加について、遺憾の意を表明しています。
同会議に出席した広島・長崎の両市長が、ロシアのウクライナ侵攻において核兵器による威嚇がなされ、核兵器使用の危機がある今だからこそ、核兵器の廃絶がますます重要となっている旨を訴えたように、核兵器禁止条約の意義はより一層高まっています。
 当会は、「ヒロシマ・ナガサキ」のそれぞれの平和祈念の日を迎えるにあたり、改めて原爆犠牲者に哀悼の意を表し、今もなお続く被爆者の方々の苦しみに思いを寄せて、我が国が核兵器廃絶のためにリーダーシップを発揮し、核兵器禁止条約の早期締約を目指して、まずは、早急にオブザーバー参加する意向を表明することを求めるものです。

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