東電津波試算の怪その3

・坂田裕介「津波レベルに基づいた避難経路選択手法の構築」には「b)走向の影響」として「震源位置は東日本大震災の震源位置と近く、マグニチュード9.0、傾斜角45度、すべり角90度とし、走向を180度から195度まで3度ごとに変化させ、前述の10地点で実測値との比較を行った。図1-5(a)に走向180度と195度の水位変動量を示す。計算結果として、図-5(b)に走向を変化させた場合の各地点の浸水深の実測値と全地点の平均浸水深を示す。走向が日本列島方向への傾きが大きいほど、浸水深が大きくなり、この結果は安部・今村が示した結果と同様の傾向となった」とある。

・安部・今村「地域ごとのリアルタイム津波予測における初期条件の影響評価と設定」には「 (3)走向の影響」として「今村・首藤(1989)により,津波は波源の短軸方向に強いエネルギーの指向性を持つことが検証されており,そ の方向(走向)は沿岸での津波高さの分布に大きな影響を及ぼすと考えられているしかし,気象庁の量的津波予報では,三陸に到達する大規模な津波の発生源となる日本海溝付近における地震断層の走向は,南北に長軸を 持つ180度,陸に近い部分では195度に設定されている.一方,宮城県沖地震の被害想定(宮城県防災会議地震対策等専門部会,2004)で想定された地震断層の走向は205 度である.そこで,走向の変化が地域ごとの津波予測に与える影響を評価する.設定した条件を表-4に示す.」とある。

・東北電力東通原発「地震に起因する津波の評価 2 津波地震」は「波源特性の不確かさの考慮」として「走向」を「基準」「基準±5度」「基準+10度」を採用している(19枚目)。そして「基準+10度」で最大水位を算出している(20枚目)。なお申請時においても「基準+10度」を用いたようである(28枚目)

(東電の東通の申請の際は「基準+5度」を用いており、それでも敷地高さを超える試算がなされたため、防潮堤を設置するとしていた(東電「東通原子力発電所における津波に対する考え方について」https://www.tepco.co.jp/nu/hd-np/info/2011/pdfdata/20111021hp.pdf)。

06-東通設C-54 東京電力株式会社東通原子力発電所 地震随伴事象に対する考慮(津波に対する安全性)(PDF形式) pdfファイルダウンロード:別ウィンドウで開きます

・大間原子力発電所の「津波の検討」では「領域3」について「+10度」も検討している(69枚目)。