平成17年1月18日原子力発電安全審査課「原子力発電所の津波対策について」

 原子力発電安全審査課はスマトラ沖大地震後に「原子力発電所の津波対策について」を公表している。

 現在行っている審査においては,津波による上昇水位が敷地レベル(安全上重要な設備の設置位置)を上回らないこと若しくは敷地レベルを上回っても津波が重要な設備に悪影響を及ぼさないように施設されているかを確認しているとある。

 土木学会2002の評価手法による評価結果として福島第二1~4号炉については「建屋扉からの浸水はわずかであることを確認」,浜岡1~5号炉については「敷地前面に上昇水位を上回る砂丘がある」などの記載もある。

 水位下降側については「水位確認に基づくプラント停止及びポンプ一時停止運用手順を整備済み」などとある。

 スマトラ島沖の地震はM9.0であったが,想定すべき地震は立地地点毎に異なるものであり,スマトラ沖で大きな地震が発生したからといって我が国の原子力発電所に対して同程度の地震の発生を想定し,その安全性を論じることは適当ではありません,とある。そして参考として,869年貞観11年の地震M8.3などが紹介されている。

 平成14年土木学会津波評価技術による津波評価を行ったところ「一部のプラントにおいて,津波の上昇水位が敷地レベルを超える結果が得られましたが,建屋扉によって水の浸入を防ぐなどにより,安全上重要な機器への影響はないように対応しております」とある。また津波時におけるポンプの運転要領を定めるなどの記載もある。

 このように,津波対策として建屋扉による浸水防止や運転手順を定めることなどが記載されていることは興味深い。