石橋秀起「営造物・工作物責任における自然力競合に よる割合的減責論の今日的意義 ――裁判例の分析をふまえて――」

 残念ながら、国の規制権限行使の違法を厳しく咎めながらも事故を確実に防げたとは限らないというだけの理由で国の責任を否定したいわき市民訴訟仙台高裁判決の上告受理申立が最高裁の不受理決定となった。

 しかし、規制権限を行使し何らかの対策(手順書を作る、防護扉を閉じる、防水シールを貼る、4メートル盤に防潮堤を建てる、防波堤をかさ上げする・・・)をしていれば、少なくとも3.11のような過酷事故までには至らなかったとも考えられる。仙台高裁判決も事故を防げた可能性は他方では認めている。このような場合はせめて自然力競合との割合的責任くらいは認めるべきであり、安易に国を免責させてはならない。

 

【参考】石橋秀起「営造物・工作物責任における自然力競合による割合的減責論の今日的意義