HPCIはなぜ自動起動しないのか?:3号機の水位の推移

 松野元「推論トリプルメルトダウン」三省堂書店91頁以下に指摘があるが、東電の事故調査報告書191頁に3号機原子炉の水位変化のグラフがある。これによると地震発生直後に水位がL-2(TAF+2.95m)を一度大きく下回っている。しかしHPCIは自動起動していない。RCICの手動起動がなされ、その後津波が襲来したが、3号機では直流電源が機能していたためRCICは12日12時頃に停止し、その後12時35分位HPCIが自動起動している(その後、13日に運転員により手動停止されてしまう)。本来はスクラム停止直後の水位低下時にHPCIは起動しなければいけないし、もし起動していれば崩壊熱を低下させられていたことになり事故に至る経過も異なっていたことになる。