東海第二では地震直後にECCSが自動起動していたこと

 福島第一も水位L-2でHPCIとRCICが自動起動する設定となっている。運転員の手動対処がなくとも、水位を自動に確保する設定となっているし、その際にはHPCIとRCICの両方が自動起動することが予定されている。しかし、3.11では1号機から3号機あるいは福島第二でもHPCIは自動起動していない。スクラム停止直後のボイドつぶれを前提に水位L-2で自動起動する設定は東海第二と変わらないはずであるのに。また、2号機・3号機ではRCICの「手動」起動をしている。しかし、いかなる水位となったことを前提に「手動」起動を始めたのか明らかではない。今後の水位の低下を前提に予め手動起動したという説明では、同時に自動起動するはずのHPCIはなぜ手動起動しないのか説明がつかない。ましてRCICの存しない1号機ではHPCIが頼みの綱となるはずである。

 HPCIは原子炉スクラム停止直後の崩壊熱を除去するための高圧注水(RCICの7倍あるいは10倍)であり、だからこそスクラム停止直後に自動起動するように設定されているはずである。LOCAの際に「のみ」使用する装置ではない。東海第二では現に地震発生直後、スクラム停止直後にまずは先発のエースとしてHPCSが起動し、同時にRCICがお供をしている。津波襲来まで40分もあるのに、2号機・3号機ではRCICだけの注水であるし、1号機はイソコンだけである(しかも早々に閉操作がなされている)。津波襲来前に既に勝負があったと言えるのではないか。少なくともその検証がなされていない。HPCIが起動しにくい設定となっていたり、RCICを手動起動することでHPCIが起動しない運用となっていたなどということがあったのであれば問題である。高経年化原発の継続稼働との関係でECCSの起動を避ける運用があったのであれば問題である。

 平成22年6月17日の2号機の事象においてRCICの手動起動だけで(外部電源の復旧がないままと仮定して)原子炉水位の回復が可能であったのかの検証もなされるべきであった。