福島第一原子力発電所の定期検査実績一覧

 平成14年8月末ころまでに発覚の東電トラブル隠しの時期を除いても頻繁に定期点検で原発は止まっていることがわかる。それほど原子炉を停止することに躊躇はいらないのではないか。東電は技術基準適合義務が電気事業法で課されており、自ら法令順守をする義務があるし、法令上の義務を履行することで経営者責任を問われることなどない。また原子力事業者は原子力災害時には巨額の賠償を無過失責任で負わされるリスクがあるのであり、この無過失の巨額賠償リスクを回避・軽減することが経営陣には会社・株主のために経営判断として求められるはずである。

 また水密化工事などは稼働期間中に設計など準備を行い、定期点検で停止中に行う事ができるのではないか。

 運転停止をしなければ対策ができないが、運転停止をするほど切迫した具体的な予見可能性が必要というロジックで、結論として全く何もしなかったことを肯定するのは本末転倒である。念のため盤上を超える浸水に備えた手順だけでも定めておく(既存の防護扉は閉める・土嚢を積む・津波の見張りをする・冷温停止にひた走るなど)だけでも事故は軽減できたはずである。

 なお、定期点検で停止中の技術基準に不適合な原子炉を国が検査合格とすることはないし、地元了解も得られないから原発は止まったままとならざるを得ない。

 抽象的に責任を論じるのではなく、この定期検査実績のタイムテーブル上で検討をすることが必要であると思う。