原子力市民委員会のHPにジャーナリストの小森敦司氏の寄稿「福島第一原発事故、東電の対応に過ち?/市民研究者ら非常時マニュアルや運転員操作の問題を追究(上)」が掲載されています。
前書きには「2011年3月の東京電力福島第一原発事故の際、運転員の機器の操作などに「過ち」があったのではないか?――事故から14年の歳月を経たが、市民サイドに立つ研究者やジャーナリストらが福島の事故の検証・分析を続け、東京電力(東電)の事故対応の問題点を追究している。そして、これまでにいくつもの新事実を発見している。東電は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた動きを加速しているが、そうして得た教訓は生かされるのか。今回は事故の進展を大きく左右したとされる福島第一原発1号機の非常時のマニュアルと運転員の冷却操作を切り口に、あの事故の際の東電の事故対応を上下2回にわたって考えてみたい。」とあります。
もくじ
(引用おわり)
炉を守るための温度降下率55℃/hの「運転制限」は「異常時」(原子炉の自動スクラム信号が発信した場合)には適用されないと保安規定では定められているのに,このことについての検証が不十分なままです。革新型軽水炉において,あるいは経年化原発の継続稼働において,どれだけ次世代型の冷却システムを構築しても,緊急時に炉を守ることを優先し冷却をためらうのでは,事故の再発防止にはなりません。
また平成22年の保安規定の変更認可の際に,国が,ICの設定値変更について具体的に審査をしたのか,東電の運転員の教育・経験なども審査をしたのか,認可決定の判断に過誤があったのでは無いか,SR弁とHPCIでの対処をしていれば事故を防ぐことができた蓋然性が高いことから,ICの設定変更の深層が明らかにされなければなりません。
「下」にも期待します。