海水ポンプは重要機器:女川クロスチェックより

 JNESによる平成22年11月30日の女川原発のクロスチェックにおいても,当たり前であるが,海水ポンプも重要機器とされている。

【3.1津波に対する安全性判断基準】として「本クロスチェック解析では,想定津波に対して当該施設が安全であることを確認するために,①想定津波が敷地内に侵入し重要機器が冠水することがないこと・・・」「各項目について,以下に示す安全性判断基準を設ける」として

 

「 ① 想定津波が敷地内に侵入し重要機器が冠水することがないこと

  ・想定津波による最高水位(遡上高)が,敷地レベル(O.P.+14.8m)を上回らないこと。

  ・想定津波による最高水位が,敷地レベルを上回るには,想定津波による浸水範囲を評価し,その範囲内に重要機器が存在しないこと,あるいは浸水範囲内の水位が重要機器の機能喪失レベルを上回らないこと。

 ・想定津波による押し波時の海水ポンプ室の水位が,海水ポンプ室天端高(全号機O.P.+15.0m)を上回らないこと。」

 

 とされている。

 

 福島第一では4メートル盤上に海水ポンプが存する。裁判所が採用する「南側のみ防潮堤」では4メートル盤上に存する重要機器である海水ポンプは軒並み冠水するから,その対策は不可避であり,その対策無くして技術基準適合確認がなされて再稼働をすることなどあり得ない。また,海水ポンプが冠水する対策で地元同意が得られることなどあり得ない。

 4メートル盤上の重要機器である海水ポンプを冠水から防護するためには東側からの浸水に対しても備える防潮堤の設置等が不可避であり,その防潮堤が存することにより,10メートル盤上の重要機器の浸水も回避・軽減できたのである。

 貞観津波試算でも延宝房総沖試算でも同様である。福島沖に波源を置けば4メートル盤上の重要機器がアウトであることは,波源モデルの確定を待たずに自明であり,その対策は不可避であった。