【問】
【件名】
福島第一1号機:平成22年7月の設定値変更の手続について
【内容】
福島第一1号機では平成22年7月の保安規定の認可により非常用復水器の作動条件となる圧力高設定値が変更されています。
同時期になされた原子炉スクラム圧力高設定値変更工事については,電気事業法に基づく工事計画の認可や使用前検査がなされているところですが,非常用復水器については,工事計画の認可あるいは事前の届出,使用前検査がなされた形跡がございません。当時の電気事業法においてこれらの検査は要しない変更であったのでしょうか。
また,安全解析にかかわる変更と思われますが,炉規法における設置変更許可申請手続は要しない変更であったのでしょうか。
御教示ください。
東京電力では3.11事故後に平成3年頃のドレイン管の接続方法の変更の反映について報告を求められたという経緯があります。
電気事業法あるいは炉規法において必要な手続を踏んでいなかったのではないかについて貴庁の見解を御教示ください。
【ご回答】
非常用復水器の作動条件の変更については、安全解析において厳格に作動時期などが要求されている機器ではないため、作動条件の変更に際して、工事計画の認可等は不要でした。
ドレイン管の件は、ご指摘の事象の特定が困難なため、回答は差し控えさせていただきます。
【問】
原子力規制委員会 御中
ご回答ありがとうございます。
非常用復水器は安全解析において厳格に作動時期などが要求されている機器ではないことはわかりました。
他方で、SR弁はおそらく安全解析において厳格に作動時期などが要求されている機器であると思われます。
そうだとすると、ICの設定値変更によりSR弁の作業に影響がでるかのか否か、仮にでる場合には(間接的には)安全解析にも関わるようにも思われます。
1.SR弁は安全解析において厳格に作動時期などが要求される機器でしょうか。
2.ICの設定値変更によりSR弁の作業時期などに影響は生じるのでしょうか。
3.仮にSR弁の作動時期などに影響がでる場合は、設置変更許可、工事計画認可、届出、使用前検査が必要となるのではないでしょうか。
追加の質問となりますがご教示ください。
【ご回答】
いただいたご質問への回答は以下のとおりです。
1. SR弁は安全解析において、作動時期が定められている機器です。
2. ICは長期的な冷温停止のための機能が要求されているため、SR弁の作動タイミング等への影響は生じません。
3. 前述のとおりです。
【関連ブログ】
・2010年5月31日福島第一原子力発電所第1号機の工事計画の認可について(原子炉スクラム設定値変更)
・福島第一原子力発電所第1号機の使用前検査について(原子炉圧力高設定値変更工事に係る合格証交付)
・松岡猛教授論文「福島第一原子力発電所事故のPSAの観点からの検討(再検討)」より
・本事故時に1号機でICを使用したのは間違い:松岡猛教授論文より(その2)
・【JAEA】「福島第一原子力発電所1号機において地震に起因する冷却材漏えいが事故の原因となった可能性があるという指摘について」を読む
・「福島第一原子力発電所事故に関する 5 つの事故調査報告書のレビューと技術的課題の分析」より
・「福島第一原子力発電所事故に関する 5 つの事故調査報告書のレビューと技術的課題の分析」より(その2)
※ 原子炉圧力高設定値変更工事については電気事業法が定める「工事計画の認可」「使用前検査」を経ているが、同時に行われた非常用復水器の設定値変更工事については、これらの手続きはなされていない。なお、いずれの工事も炉規法が定める設置変更許可申請はなされていない。両者とも保安規定の変更認可申請はなされている。