福島第一:設置許可申請書における防波堤の記載

東京電力株式会社編『福島第一原子力発電所原子炉設置許可申請第27部会参考資料 : 昭和41年12月』より

 復水器冷却用水の取水について「港湾方式」を採用したとある。海水ポンプが太平洋にむき出しとなったのはこの「港湾方式」のためであろうか。

 「敷地を越波より完全に保護」するため北防波堤はO.P5~7m、東波除停はOP6.725mとしている。他方で、南防波堤は若干の越波を許すことにしOP5.5mとしている。

 そして設計波高として用いられているのは(チリ)津波ではなく、昭和40年10月5日台風28号である。最大波高は8.1mであるが、「有義波高」は波高の高い方から順に全体の1/3の個数の波の平均値をとるからか6.5mとされている。

 ※ 気象庁HP 波浪の知識 参照

 ここでようやく津波への言及があるが、想定津波は1960年5月24日のチリ津波のOP3.122mであり(しかも55キロも南の小名浜港での記録にすぎない)、最大潮位を考慮しても4.2m程度だから「重要構造物」のある敷地高10mは超えないから十分安全としている。牧歌的な時代の手書きの申請書である。台風28号では意識はされていた4メートル盤上の海水ポンプの話は出てこない。防波堤・波除堤は、(チリ)津波ではなく台風28号を前提にした防護措置であった。


 国は、防潮堤等の対策の際には、電気事業法に基づく規制権限はないと現在も主張し(全て裁判例でこの主張は排斥されている)、設置許可変更申請によるとしつつ、当時の炉規法では設置許可を取り消すか、行政指導しかないとしている。

 

 ※ ・青木一哉氏(元保安院統括安全審査官)の意見書を読む

 

 仮に行政指導だとしても、国策民営の原子力事業において、電力事業者が国の指導に従わないことはない。そして、設置許可申請書に反する浸水想定が明らかになった場合は、その変更がなされない限り、原発の稼働継続は地元了解や世論もあり不可能である。

 台風28号(その有義波)やチリ津波しか想定していない防波堤・波除堤について、その後、想定が変更されたのであれば、防波堤や波除艇の想定を見直すためにも、設置許可変更申請から始まる工事が必要であり、その間は原発は停止せざるを得なくなったとも考えることもできる。