非常用復水器の位置づけ

■設置変更許可申請書本文

 非常用復水器は設置変更許可申請書本文では

「五,原子炉及びその付属施設の位置,構造及び設備」

「ホ 原子炉冷却系統施設の構造及び設備」

「(ハ)非常用冷却設備」

「(2)主要な機器及び管の個数及び構造」

「a 非常用復水器」

に位置づけられている。

「主蒸気管隔離弁閉鎖などにより,主復水器が利用できない場合に崩壊熱を除去するため,非常用復水器が原子炉建屋内に設けられる」と記載されている。

続いて「b 炉心スプレイ系」「c 高圧注水系」が並んでいる。

 「非常用復水器」が「非常用冷却設備」でないというのであれば、設置許可変更許可申請書本文の変更許可申請をする必要がある。

 なお、「ヘ 計測制御系統施設の構造設備」「(イ)計装」「(2)その他の主要な計装の種類」として「原子炉水位,原子炉圧力・・・などの計装装置が設けられる」とある。また「(ロ)安全保護回路」「(1)原子炉停止回路の種類」として「原子炉圧力高」、「(2)その他の主要な安全保護回路の種類」「a 補助保護機能」として「ⅲ)原子炉圧力高の信号による非常用復水器の作動」がある。

■東電事故調査報告書添付資料7-8では非常用炉心冷却系一覧表にICがあるが、東電は新潟県の委員会ではICはECCS系ではないとしている。

 ■福島事故検証課題別ディスカッション 「地震動による重要機器への影響」 説明資料 平成26年1月14日

日本学術会議:東京電力福島第一原子力発電所1号機において 発生した事故事象の検討

 

[9] 東京電力へのヒアリング ① ICの作動に関する質問へのご回答(質問:2013 年6 月 24 日、回答:2013 年7 月 12 日)

 

(質問1): (1)東電1F1ではこれをどのように位置づけていたのでしょうか。

 

(回答) ECCS(非常用炉心冷却系)は原子炉冷却材喪失事故が発生した際に、原子炉内に冷却水を注入して炉心を冷却することで炉心の損傷を防ぐことを目的とした設備の総称で、1F1の場合は高圧注水系(HPCI)、炉心スプレイ系(CS)、自動減圧系(ADS)が相当します。 IC は、通常時に使用する主復水器が何らかの理由で使用できなくなった時に使用する“非常用”の復水器です。ICはECCSに位置づけられる設備ではありません(配管破損等による冷却材喪失を想定した設備ではありません)が、通常使用される主復水器が使用不能な時にも原子炉を冷却する機能を確保するという点で、安全上重要な設備* となっております。

*発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針(原子力安全委員会決定、平成2年8月30日)に基づき、ICはMS-1(異常状態発生時に原子炉を緊急に停止し、残留熱を除去し、 原子炉冷却材圧力バウンダリの過圧を防止し、敷地周辺公衆への過度の放射線の影響を防止する構築物、系統及び機器)に分類

 

 ※ECCSではないが「非常用」の「安全上重要な設備」とのことである。

 

2025年9月4日「中間取りまとめ」

 非常用復水器の位置づけについて本文に記載はない。

 (別添1-1) 1号炉非常用復水器に係る設計及び運用について

原子力規制庁原子力規制部東京電力福島第一原子力発電所事故対策室宮本健治の79頁等において

 

「7.設計上の留意点

非常用復水器は、主復水器が使用出来ない場合に、原子炉の崩壊熱を除去する目的で設置。

当該設備は、非常用冷却設備として設置されており、運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故の解析において、非常用復水器の機能を考慮しているものの、実際の機能よりも保守的に想定、また、仮想事故においては、その機能を期待 しないと整理。(設置許可申請書添付十)。」

 

とされた。「常用設備」という文言はなく、「非常用冷却設備」であり「運転時の異常な過度変化」「設計基準事故」の解析において「非常用復水器の機能を考慮している」とされている。

■東電の保安規定41条では非常用復水器は原子炉隔離時冷却系(RCIC)に組み込まれている。

 ちなみに非常用復水器系計装について保安規定27条は計測及び制御設備で規律している。

■平成22年5月26日保安規定変更認可申請(原子炉スクラム高設定値変更工事)においては、非常用復水器系の設定値も安全保護系設定値と扱われている。

原子力安全・保安院平成15年11月27日付「原子力発電設備に係る工事計画の運用について(内規)」では非常用復水器は「残留熱除去設備」(RHR)と扱うとされている。

■ 日本原電は非常用復水器の設定値変更工事は「電気事業法施行規則(別表第二)
」「ハ  計測制御系設備」「1 沸騰水型原子力発電設備に係るものの改造であって、次に揚げるもの」「 (1)制御方式(非常用のものに限る。)又は制御方法(非常用のものに限る。)の変更に伴うもの」に該当するとしているとのことであった。

 

■久木田豊・渡邉憲夫「福島第一原子力発電所1号機において地震に起因する冷却材漏えいが事故の原因となった可能性があるという指摘についての検討について」(日本原子力研究開発機構 2014.11)「IC の作動設定値変更に関する検討:2009 年の事象(タービンバイパス弁の故障に伴う SRV の作動)を受けて 2010年7月の定期点検時において原子炉圧力高スクラム設定値 が変更され(7.27 MPa → 7.07 MPa)、併せて IC の作動設定値が 7.27 MPa から 7.13 MPa に、また、SRV の手動制御範囲も 6.37~7.26 MPa から 6.27 MPa~7.06 MPa に変更されたが、これらの変更にあたってどのような検討がなされたかが明確にされていない。 また、これら変更の際に当時の規制機関であった原子力安全・保安院がどのような対応を取ったのかについても不明である。これらの変更は、手順書において数値自体の改訂はなされたものの、操作手順に反映されていない特に、IC の作動設定値の変更は原子炉スクラムから全電源喪失までに間のプラント挙動に大きな影響を及ぼすとと もに、設置許可申請書の安全解析における前提条件が変わることも意味するため、よ り慎重な検討がなされ変更の事実とその影響が関係者に周知されるべきである