原子力規制委員会のご回答(非常用復水器設定値変更と工事計画の要否)

 非常用復水器の設定値変更と旧電気事業法の設定値変更について原子力規制委員会から下記のご回答がございました。

 

【問】

独立行政法人原子力安全基盤機構「工事計画認可・届出の対象設備の妥当性評価」(平成1810月)を見ますと,クラス1機器の変更工事は認可が必要とあるように思われます。そして非常用復水器はMS-1に位置づけられていると思われます。

福島第一原子力発電所の安全性に対する総括

またJNESの資料によりますと「3 計測制御系統設備」「7 工学的安全施設起動に要する・・・設定値並びに工学的安全施設起動信号を発信させない条件」についてもJNESの表では「認可」とあるようにも思われます。

非常用復水器の圧力高設置値変更工事については,旧電気事業法47条あるいは48条により工事計画の認可ないし届出が必要であり,また49条で使用前検査が必要であったのではないでしょうか。

非常用復水器の圧力高設定値変更工事は旧電気事業法施行規則別表第二には該当しないのでしょうか。

 

【ご回答】

福島第一原子力発電所1号炉において、非常用復水器は工学的安全施設とはみなされておらず、作動圧力の変更は旧電事法施行規則別表第2には該当せず、工事計画の認可は不要です。

 

以上、よろしくお願いします。

 

【問い】

同じく非常用復水器を用いていた敦賀原発について日本原電に原子炉圧力高の設定値変更工事について電気事業法の工事計画の認可が必要であるかをと言わせたところ,電気事業法施行規則(別表第二) ハ  計測制御系設備 1 沸騰水型原子力発電設備に係るものの改造であって、次に揚げるもの (1)制御方式(非常用のものに限る。)又は制御方法(非常用のものに限る。)の変更に伴うもの に該当するから工事計画の認可が必要であるとの回答を頂きました。
福島第一1号機における平成22年の原子炉圧力高設定値変更工事についても別表第二に該当し工事計画の認可ないし届出が必要であったのではないでしょうか。ご回答ください。
また,設置変更許可申請書(平成14年完本)の本文を見ますと同じ「原子炉圧力高」により原子炉スクラムと非常用復水器が起動する安全回路図がございます。本文を読む限りは,同一の設定値が原子炉スクラムと非常用復水器の作動条件となっているように読めます。平成22年に原子炉スクラムと非常用復水器の設定値を分けて,それぞれ変更がなされていますが,そうすると本文の記載事項の変更となり設置許可変更申請が必要となったのではないかと思われますが,この点についても御教示よろしくお願い申し上げます。

 

【ご回答】

「電気事業法施行規則別表第二 ハ  計測制御系設備 1 沸騰水型原子力発電設備に係るものの改造であって、次に揚げるもの (1)制御方式(非常用のものに限る。)又は制御方法(非常用のものに限る。)の変更に伴うもの」に関する工事計画の記載すべき事項は同じく旧電事法施行規則別表第3にて定められており、ここでは「1 制御方式及び制御方法(1) 原子炉の制御方式」「(2) 原子炉の制御方法」とありますので、非常用復水器の作動圧力変更工事はこの分類に該当しません。
 また、非常用復水器の作動に関する圧力計は、原子炉スクラムのものとは別に設置されており、かつ工事計画の認可対象外です。

 

 別表第3から,別表第2の該当性を判断してよいのかという疑問はあるが(別表第2で規律されるものについて別表第3の記載が求められるのではないか),それはさておくとしても,「原子炉の制御方式」には「原子炉の圧力の制御方式」があり,「原子炉の制御方法」には「原子炉の圧力の制御方法」がある。非常用復水器は,主復水器が利用できない場合に,非常用に圧力を制御するための装置であり,「原子炉の圧力の制御方式」「制御方法」に該当しないのか。

 東電の保安規定中「原子炉がスクラムした場合の運転操作基準」には次のような記載がある。


 「原子炉制御」「スクラム」として,主な監視操作内容に「原子炉圧力」とあり,「原子炉スクラム後,原子炉圧力を確認する」「主蒸気隔離弁が開の場合,原子炉圧力制御が正常であることを確認する。また,主復水器が使用可能であることを確認する。」「原子炉圧力制御が正常でない場合又は主復水器が使用不能である場合は,主蒸気隔離弁を閉鎖し原子炉を隔離する。」「主蒸気隔離弁が閉の場合,主蒸気逃がし安全弁を開又は非常用復水器系を起動して,原子炉圧力を調整する。また,主蒸気逃がし安全弁の開閉又は非常用復水器系によって原子炉圧力の調整ができない場合,原子炉制御「減圧冷却」へ移行する。」ななどとある。「復旧」においても「主蒸気隔離弁が閉している場合,開可能であれば均圧後主蒸気隔離弁を開する。また,開不能であれば主蒸気逃がし安全弁又は非常用復水器系で原子炉減圧する。」とある。

 これは「原子炉の圧力の制御の方式」「制御の方法」ではないのか。

 「不測事態」「急速減圧」でも「主蒸気逃がし安全弁が使用できない場合は,高圧注水系,非常用復水器系等を使用して減圧する」「主蒸気逃がし安全弁が1弁でも解放できなければ,高圧注水系,非常用復水器系を使用して減圧する」とあり,「原子炉の圧力の制御の方法」「制御の方式」に位置づけられていると言えるのではないか。

 非常用復水器の設定値変更により,1号機は非常用復水器のみで,大規模地震発生・外部電源喪失・スクラム停止・MISV閉・大津波警報発令に立ち向かった。その重大な設定値変更について電気事業法の規制がかからない解釈にはどうしても疑問が残る。なお追及したい。