設定値の設工認問題

 第55回原子力規制委員会(令和8年2月4日開催)では、東電の刈羽原発に関する「設工認」のやり取りがある。

 原子力規制委員会委員長の定例記者会見の速記録には以下のやり取りがある。

 

○記者

 はい。東京新聞のハマサキです。よろしくお願いします。 一つの前の議題、話に戻って、今日報告のあったKKの不具合の件なのですけども、ま だ原因の特定はまだ至っていないということでしたが、結局2023年にインバータを全部リプレース、変えたということで、メーカー側の部品ですとか、あるいは設定によ って、何らかの不具合が起きるというメーカーのその部品に何らかの不具合があって も、これは一義的にはもう事業者、電力会社のそれを見つけたりですとか、それを正 しく動かせるようにするというのは電力会社の責任という理解でいいのでしょうか。

○山中委員長

 これは交換する部品とか設備の安全上の重要度次第かなというふうに思い ます。非常に重要なものであれば、設工認を提出していただいて審査をすることになりますし、今回のケースについては、あくまでも設備更新ということで、事業者が行う、その品質保証の活動の中でしっかりと品質を調べていただければいいような類の部品であったということでございます。それが2023年に交換をされて、一定程度の試 験をされたと思いますけれども、制御棒を多数本抜くというような、動作というのは 起動後の試験でないとできませんので、その時点で警報の不具合というのが発生した という、そういうことだというふうに認識しています。

 

<中略>

 

○記者

 分かりました。あと最後にしますが、今日の委員会での説明によると、今回のト ラブルの推定原因として機器のハード的なトラブルというよりかは、警報が鳴るまでの時間設定に起因する可能性が高そうだというお話だったと思います。そうであれば ということで、杉山委員からは、この機器を更新したときの確認が少し甘かったので はないかというような指摘も出ていましたけども、この辺りは委員長としてどのよう にお考えでしょうか。

○山中委員長

 若干杉山委員の御認識に誤りがあったのではないかなというふうな、私、 確認を改めてさせていただきましたけれども、杉山委員、設工認の対象機器であったのではないかという御認識で、やはりリスクに応じてきっちりと調べてもらう必要があるよねという、そういうコメントだったかと思うのですけれども。改めて確認をさせていただきましたけれども、これは設工認の対象機器ではございませんので、若干 そこには杉山委員のお考えに違いがあったのかなというふうに思っております。 あくまでも自主的に更新をしたものではあるけれども、事業者の品質保証の活動の中で、しっかりとこれは調べてもらうべきものだったというふうに、私自身は認識しております。

○記者

 分かりました。ですから設工認の対象ではないものの、彼らの判断で交換したものですし、とはいえ非常にクリティカルな部分に入ってくる機器なので、しっかり彼らなりの品質保証で対応してほしい、チェックしてほしいと、こういう何というのでしょうか。

○山中委員長

 私はそういう趣旨でございます。

○記者

 分かりました。ありがとうございます。

 

<中略>

 

○記者

 毎日新聞のオガワと申します。柏崎刈羽の関係で、すみません、先ほどの東京新聞さんの質問への回答でちょっとごめんなさい、意図が読めないところがあって恐縮なのですけれども、今回の不具合は そのメーカーの部品の設定によって不具合が起きていても一時的には事業者、電力会社の責任なのかという質問に対して、その交換する部品とか設備の安全上の重要度次第というような御発言をされたと思うのですけども、これはつまり安全上重要なものであれば、メーカーにも責任は生じるということをおっしゃっているという理解でよ ろしいでしょうか。

○山中委員長

 私のその発言の趣旨は、安全上の重要度に応じて、例えば設工認を申請を していただくような、そういう設備もございますという趣旨でございまして、今回は自主的に2023年に設備を更新をされて、それは設工認の対象外の機器であって、事業者の品質保証の活動の中でしっかりと調べてもらうべきものだったというふうな、そ ういう趣旨の発言でございます。

 

<中略>

 

○記者

 あと、ごめんなさい、もう一点、今日の委員会の中で、杉山委員の発言の中で、 今回は警報を出す必要のない場面で警報が出たというエラーだったけれども、場合によってはその逆に警報が必要な場面で出ないというエラーもあり得たのではないかと いうことで、杉山委員は割と今回のエラーを結構、重い問題として捉えているような印象を受けたのですけども、その点について何か委員長と、ほかの委員の皆様と杉山 委員の間で連絡を重要度の認識に差があるのかなというふうに感じたわけです。

 

○山中委員長

 杉山委員の御認識は、今回のいわゆる制御系の部品というのが、設工認の対象であったのではないかという認識を持っておられたのかなというふうに思います。その上でこういう事案が起きたら、きっちりとリスクの高い部分であれば、調べる必要があるのではないかというコメントだったので、あえてその趣旨をお伺いしたとこ ろ、設工認の対象機器であるというふうな御認識で、リスクに応じてその対応を考えていかなければならないという御認識ですねということを改めて確認をさせていただ きました。今回の部品については設工認の対象外でございますので、あくまでも事業者が必要に 応じてその部品を交換をして、事業者の責任において品質保証をしっかりとしていた だければいい部品であるというふうな理解でございます。

○記者

 そうすると、杉山委員の今回の問題への重要性の認識と、委員長の認識というのは特に齟齬はないと。

○山中委員長

 齟齬はございません。

○記者

 分かりました。ありがとうございます。

 

<中略>

 

○記者

 朝日新聞のオガワです。よろしくお願いいたします。 ちょっと各論になってしまうのですけど、私も柏崎刈羽原子力発電所についてお尋ね します。今回の規制庁から報告のあった警報の設定の不具合というのは、これは先ほど初期ト ラブルというお話があったのですけれども、もしこれが原因だとすれば、これは安全上重要ではそれほどないというお考えでいらっしゃいますか。

○山中委員長

 私自身、従来から本件についての安全の重要度については、我々規制当局が介入するレベルではないという認識でございますので、特に今回、まだ原因は分かりませんけれども、そういう設定の問題ということであれば、事業者が判断をして、そこをきっちりと設定値を変えていくということをしていただければ、次のステップ に進んでいただけるような事象かなというふうに理解をしています。

○記者

 ありがとうございます。この今日の規制庁からの説明の中でも、ほかの204本の制御棒のインバータについても設定を確認するといったような趣旨だったと記憶しているのですけども、やはりそれが、ほかの204本の設定についても確認が必要でしょうかということと、まずそれをお尋ねさせてください。

○山中委員長

 それをきっちり、設定値は確認をしていただいて、不具合が起きないような設定に変えていただく必要があろうかと思います。

 

<中略>

 

○記者

 フリーランス、マサノです。よろしくお願いします。柏崎刈羽6号機の件なのですけれども、委員長は、要するに制御棒のこのトラブル、制御棒は設工認の対象外であって、初期トラブルであるというふうな見解を現在のとこ ろは持っているということでしょうか。

○山中委員長

 今回、起動後に起きた制御系のトラブルについては、あくまでも初期トラ ブルではないかという、これはもう推定でございます。今後原因がはっきりして、確定することになろうかと思いますけれども、現時点で我々規制当局が介入して、何かしなければならないようなトラブルではないという認識ではございます。

○記者

 この制御棒とインバータとモーターの接続に関することだと思うのですけれども、 このトラブルは去年も複数回起きて、引き抜き検査でも別の、30年前の設定ミスとい うことでLCO(運転上の制限条件(LCO:Limiting Condition of Operation))逸脱が出 て、今年の1月14日にも起きたことがその後に分かって、1月21日でしたでしょうか、も起きたということで、これ初期トラブルと言えるのでしょうか、何度も起きていて。

○山中委員長

 今回は、あくまでも2023年にその電気系の部品を交換をして、それで起き たトラブルだということで、初期トラブルだという表現をさせていただきましたけれども、ソフトウェアの、いわゆるその設定をミスして、30年間、気がつかなかったと いうのは、表現としては初期トラブルという表現は正しくないと思います。ただ、安全上の重要度でいうと、我々規制当局が介入してどうのこうのという、そういう過大なものではないという、そういう判断ではございますけれども。

○記者

 ただ、杉山委員の御指摘とちょっと近いのかもしれないのですけれども、制御棒とインバータとモーター、この部分に関しては、実は設工認の対象とすべきではないでしょうか、これだけ問題が起きているとなると。

○山中委員長

 制御棒に関係するようなトラブルが継続しているということについて、メ ディアの皆さんも関心が非常に高いですし、国民の皆さんが不安に思われるのも非常に理解できるところでございますので、それは規制当局として、あるいは事業者として受け止めなければならない問題だとは思いますけれども、個別の問題についての安全の重要度については、非常に重大な問題であって、我々規制当局が一々介入するべき問題ではないという判断でございます。ただし、さらにこれからずっと続いていく、同じような問題が制御棒について続いていくという状態がこれからも継続されるならば、やはり我々としても関心を持たざる を得ません。 

 そこは、一般の方のお気持ちは理解できるところですし、我々も、例え ばNRCの教えで、雨が降ったら水たまりがあちこちにできるような原子力発電所は何かおかしい、そういうような教訓もございますので、これ制御棒について、違うトラブルでも、もうずっとこれから幾つも起きるようであれば、我々も関心を持たざるを得ないなというふうに考えているところでございます。 

 

○記者

 おっしゃるとおりかなと思うのですけど、今回設定のミスだということなのですけれども、この断面図とかを見ると、ラッチがあって、ボールソケットがあって、そこにうまく引っかからなかったとかいうことなので、設計の問題である可能性もあるのではないかと思うので、そこはやっぱり杉山委員がおっしゃられていたような設工認の対象とするのか、それ以下なのかとかということをおっしゃられていましたけれども、ここはやっぱり検討の余地があるんじゃないかなというのを、委員長の答えを聞きながら思ったのですが、どうでしょう。

○山中委員長

 ちょっと誤解があるようでございまして、今回のケースというのは、いわ ゆるハード上の問題ではなくて、あくまでもそういう電気系統の問題でございます。ので、安全上、何か重大な不具合があったというような問題ではなくて、事業者の品質保証の活動の範囲でしっかりと確認してもらえればいい事案だというふうに理解を しております。

 

<以下、略>

 

【コメント】

 平成22年の非常用復水器の圧力高設定値変更について、日本原電の回答によると、設定値変更は電気事業法(当時)の工事計画認可申請の対象であるとのことであったが、原子力規制委員会の回答によると対象ではないとされている。対象であったと回答すれば、無認可工事であったということになるから、対象ではないと回答するしかないのかもしれない(なお、非常用復水器の設定値変更に関し保安規定の変更申請は保安院は認可している(実質審査がなされたのかは不明であるが))。しかし、工事の対象となるか否かについて、「匙加減」が働くものなのであろうか。いずれにしても厳格な安全審査は期待されるが、設工認の対象ではない、と回答して電力会社の自主保安の問題とし、

自らの責任回避を図るのであれば規制当局の姿勢として疑問も残る。

 

原子力規制委員会のご回答(非常用復水器設定値変更と工事計画の要否

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○記者 東京新聞さんが聞かれていた、電力会社だけじゃなくてメーカー、部品の製造し たメーカーへの責任が生じるかどうかという部分を東京新聞さんは恐らく尋ねられた と思うのですけども、そういうメーカーの責任が生じるというのは、ケースとしてど ういう場合があるのですか。 ○山中委員長 ちょっとそういう趣旨で聞かれたというふうな認識ではございませんでし たので、その趣旨がそうなのか、どうなのかというのは、いかがでしょう。