鳥栖市立中学校いじめ重大事態調査報告書に対する声明
本日答申された「鳥栖市立中学校いじめ重大事態調査報告書」は佐藤和威さん(当時中学1年)が同級生から受けてきた暴力行為等について,「甚大な肉体的,精神的苦痛を与える」「極めて重大」な「非常に深刻ないじめ」であったと明確に認定した。また,PTSDの発症についても,主治医外3名によるPTSDの診断を詳細に引用しつつ「いじめによって,精神的苦痛を受け,精神症状を発症して通院を余儀なくされた」「重篤な精神的ダメージを抱え」たと認定し,PTSDの発症を事実上肯定した。さらに佐藤和威さんやその家族に対する「誹謗中傷,嫌がらせによる二次被害」についても認定し,「不特定多数による誹謗中傷は,今なお被害生徒やその家族を苦しめている」と言及している。これらの認定は,佐藤和威さんがこれまで訴え続けてきた被害について第三者委員会が正面から向き合いこれを事実であると認めたものとして評価ができる。
また報告書では、いじめの早期発見が出来なかったこと、徹底した事実調査を欠いた形式的な「謝罪」が事態を悪化させたこと、被害生徒に寄り添った支援体制が不十分であったこと、教育委員会による調査がなされていないことなど学校・教育委員会の事後対応の問題点が多々指摘されている。そして「教員らにいじめに気づいてもらえなかった」「再々被害を訴えたが納得のいく調査をしてもらえなかった」「学校復帰できなかった」「自身の精神症状すら理解してもらえなかった」ことが佐藤和威さんの精神症状を更に悪化させたことを認めており、司法判断では不問とされた事後対応の責任を認めている点も評価できる。
他方で,報告書では,なぜ学校・教育委員会がいじめに対して認識不足であったのかについて十分な解明はなされていない。報告書自体が認めているとおり,仮にいじめ発覚当時に適時に第三者委員会による十分な調査と事実確認がなされていれば,いじめの発生要因やいじめが見逃された原因等について,より詳細な分析がなされたと考えられるし,佐藤和威さんの精神状態の悪化も軽減できた可能性がある。報告書に不十分な点がある大きな原因は適時に徹底した事実確認を行わなかった学校・教育委員会にある。
鳥栖市教育委員会に対しては,この報告書を検証し改善策を実施する機関を早急に立ち上げるとともに,本件いじめについて誤解や偏見を払拭し,今なお精神症状や誹謗中傷に苦しむ佐藤和威さんを支援するための窓口を設置することを求める。また第三者委員会の調査資料については厳格に保管をすること(廃棄等をしないこと)を求める。
今後、二度と同じような悲惨ないじめ被害を招かないために,今回の報告書を出発点として,学校関係者における真摯な取り組みを強く求める。
2026(令和8)年3月26日
被害生徒佐藤和威さん代理人
弁護士 辰巳 裕規
同 立花 隆介
同 迫田 登紀子