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法務省HP「自筆証書遺言に関するルールが変わります。」

法務省民事局のホームページ「自筆証書遺言に関するルールが変わります。」では、1月13日より施行される自筆証書遺言の要件緩和についてQ&Aで解説がなされています。以下、いくつか注意を要する点を見ていきます。

 

1.1月13日よりも前に作成された自筆証書遺言には適用がないこと

 「同日よりも前に,新しい方式に従って自筆証書遺言を作成しても,その遺言は無効となりますので注意してください。 」とあります。財産目録をワープロ打ちした自筆証書遺言を1月13日よりも前に作成した場合には1月13日以降も無効です。

 

2.財産目録の作成は遺言者以外でもよいが、各頁に遺言者が署名押印をする必要があること

「Q3 財産目録の形式に決まりはありますか?
A3 目録の形式については,署名押印のほかには特段の定めはありません。したがって,書式は自由で,遺言者本人がパソコン等で作成してもよいですし,遺言者以外の人が作成することもできます。また,例えば,土地について登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。 いずれの場合であっても,Q4のとおり,財産目録の各頁に署名押印する必要がありますので,注意してください。」
とあります。ワープロ打ちそのものは遺言者以外のものがしても構いませんが、そこに必ず遺言者が各頁に署名捺印をする必要があります。

 

3.財産目録の両面に記載がある場合は表裏両方に署名押印が必要であること

「Q4 財産目録への署名押印はどのようにしたらよいのですか?

A4 改正後の民法第968条第2項は,遺言者は,自書によらない財産目録を添付する場合には,その「毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては,その両面)」に署名押印をしなければならないものと定めています。つまり,自書によらない記載が用紙の片面のみにある場合には,その面又は裏面の1か所に署名押印をすればよいのですが,自書によらない記載が両面にある場合には,両面にそれぞれ署名押印をしなければなりません。 押印について特別な定めはありませんので,本文で用いる印鑑とは異なる印鑑を用いても構いません。」

 

4.押印については本文と異なる印鑑を用いてもよいこと

前述のとおり「押印について特別な定めはありませんので,本文で用いる印鑑とは異なる印鑑を用いても構いません」とあります。

 

5.自書した本文そのものにワープロ打ちした財産目録があっても無効となること

 財産目録の添付の方法については特別の定めはなく、ステープラー等でとじたり、契印したりすることは必要ではありませんが、ワープロ打ちが認められたのは「添付する」財産目録についてであるので、財産目録は自筆で作成された本文とは「別の紙」でなければならず、本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできないとあります。

 

「Q5 財産目録の添付の方法について決まりはありますか?
A5 自筆証書に財産目録を添付する方法について,特別な定めはありません。したがって,本文と財産目録とをステープラー等でとじたり,契印したりすることは必要ではありませんが,遺言書の一体性を明らかにする観点からは望ましいものであると考えられます。なお,今回の改正は,自筆証書に財産目録を「添付」する場合に関するものですので,自書によらない財産目録は本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成される必要があり,本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできませんので注意してください。」

 

同一の用紙の左(右)半分や上(下)半分に本文を自書し、その残りにワープロ打ちした財産目録があっても無効です。本文を自書した紙の裏面にワープロ打ちした財産目録を印刷したり、ワープロ打ちした同じ紙の反対面に手書きで本文を自書した場合も無効となりますので注意が必要です。

参考ブログ自筆証書遺言の方式緩和は1月13日から

参考ブログ自筆証書遺言の方式の緩和