共用プール建屋のディーゼルエンジン発動機は機能維持していた

 東京電力作成の「福島第一原子力発電所共用プール建屋防水対策について」によると4号機西側に存する共用プール建屋1階に設置されている2台の非常用ディーゼルエンジン駆動発電機(D/G)(2B・4B)には浸水痕は無く機能維持していたとのことである。もっとも配電盤(M/C・2E・4E)が地下1階に存したことから機能を喪ったとされる。建屋内1階に設置された電源設備は水密化が実施されていなくても電源設備は機能維持できていたのである。

 「福島原発で何が起こったか 政府事故調技術解説」(日刊工業新聞社)によると2号機の1階・地下1階のパワーセンター(PC)は一部機能維持、3号機の中地下階の直流電源(DC)は機能維持、4号機の1階のパワーセンター(PC)は機能維持とある。1階に設置されながら機能維持ができなかったのは1号機の金属閉鎖配電盤(M/C)とPCだけである。1号機の防護扉が閉じられていたならば、また4メートル盤上に設置されている非常用海水系ポンプ(耐震クラスS)を防御するための防潮堤の設置・防波堤のかさ上げがなされていたならば1号機1階のM/C等は機能喪失を免れた可能性がある。

 1号機1階設置のM/Cが機能維持していたならば、生き残ったD/Gからの最小限の給電が行われ、事故は炉心損傷に至らない軽微なもので済んだ可能性が高い(同書44頁参照)。

 政府事故調査報告書中間報告によると調達された電源車は高圧電源車であり、6900Vの電圧であったため、P/Cに接続することはできなかったとある(161頁)。M/Cが機能維持していれば電源回復はより迅速に行われた可能性がある。1号機のタービン建屋の防護扉が開いていたことは事故拡大の要因であり、津波警報発令時のマニュアル整備だけでも電気事業法106条に基づき国が指示し報告徴収していれば事故が防げた可能性が高い。

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