中部電力に、以下の質問をしたところご丁寧にご回答がありました。
【質問】
浜岡原子力発電所では東日本大震災以前から津波対策として原子炉建屋入り口等に腰部防水扉を設置していたと伺っております。この防水扉については津波発生時に開放されていたとすると対策としては無意味になります。御社において、地震発生時あるいは津波警報発令時(あるいは高潮・洪水が懸念される際)に防水扉を閉めるという所則・手順書・マニュアルは腰部防水扉が設置された際に定められておりましたでしょうか。差支えの無い範囲で構いませんのでご教示ください。
【ご回答】
辰巳 裕規 様
このたびは、ホームページにご連絡をいただき、ありがとうございます。
浜岡原子力発電所では東日本大震災以前から、原子炉建屋の大物搬入口等に扉を設置しておりました。
東日本大震災での知見を踏まえ、現在では、既設の扉に加え、更に強固な水密扉や強化扉を新たに設置しております。
これらの扉は、普段は閉じられた状態となっております。搬入搬出等で必要な時のみ、開けられるものであり、その際は、緊急時に遅延なく閉じられるよう、必要な要員を配しております。
これは、基本的に、東日本大震災以前からある扉も同様の扱いです。
なお、手順や運用に関しては、社内扱いとなりますので、詳細についてお答えいたしかねますことご了承ください。
引き続き、今後とも当社をご愛顧いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
中部電力株式会社
総務・広報・地域共生本部
エネルギー広報グループ
福島第一においても大規模地震発生時・大津波警報発令時に大物搬入口の防護扉を閉めるという手順を定めるだけでも浸水を軽減させることはできたはずである。そして1号機1階のMCや1階から地下1階の直流バッテーリーは機能維持できたのではないか。
予見可能性の程度というのであれば、防護扉を開けっぱなしにしないなど津波警報発令時の敷地高を超える浸水に備える手順書をつくる、という程度の回避行為を義務付ける程度の予見可能性は存したはずである。10メートル盤上の作業員に対しても万が一の津波襲来に備えて避難は呼びかけられていたはずであり、それと同じ程度の予見可能性で足りるのではないか。
「万が一」にも事故を起こしてはならないという規範からは、裕度のある防潮堤や防潮堤工事完成の間の水密化、工事完成までの一時停止が即時に求められるのが本来であるが、裁判所はそこまでの切迫性のある具体的な予見可能性は認められないなどと逃げる。「万が一」にも事故を起こしてはならないという規範から、同時に念のため「弥縫策」としてできることだけでもしておくという作為義務も導かれるはずである。津波警報発令時にはせめて関西電力・中部電力・日本原電のように防護扉を閉めておくというのもその一つである。大地震発生後の余震や火災、その他地震による機器の故障などに備えて冷温停止を急ぐのもその一つであろう。
なお、東電は想定していた引き波対策としては何をしていたのか、地震発生から津波襲来までの40分間で行えることはあったはずである。
【関連ブログ】
■関西電力は津波注意報時には扉・シャッターを閉鎖する運用であった
■東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故時運転操作手順書について